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自作小説

餓鬼狩り (第一回)

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                      餓鬼狩り  (第一回)

 古ぼけた賽銭箱の上に、人の首が二つ。
 若い男女の首が、寄り添うように置かれていた。男の首には顎がなかった。惨たらしい男の首の傍らには、髪の長い女の首。血糊で汚れた女の首には眼がなかった。
 鴉が鳴いた。
 右の眼が潰れている鴉が、赤い鳥居の上で鳴いた。
 潰れている右の眼は、コールタールと、黄色い腐什を混ぜ合わせたような脂で彩られていた。
 左の眼は潰れてはいない。怪しい光を湛えている。蛍のよう光る眼は、鴉の体内に充満しているどす黒い感情が、そこから噴き出しているこのように見えた。
 鴉が羽ばたいた。さして広くもない境内を飛び回った。境内を飛び回り、やがて苔むした手水舎に細い脚を下ろした。
 手水舎の窪みには、清涼な涼気を映し出すような水が湛えてあった。
 鴉は頭を垂れ、水面に自分の醜い貌を映し出した。しばらくの間おのれの貌を見ていたが、一つ、甲高い声で鳴き、また、宙に舞った。
 曇り空から照らされる鈍い午後の陽光が、鴉の羽を、どす黒く光らせる。
 鴉は宙を飛び、対座している八つの灯篭の中を潜り抜けた。灯篭を潜り抜け、土くれがはみ出している石畳の上に、羽を休ませた。
 石畳の上に降りた鴉は、対になっている狛犬を、かわるがわる視た。
 右側の阿形の狛犬の口の中に肉片があった。
 女の細く滑らかな手の指であろう。五つ、六つ、血に染まってそこに置かれてあった。
 左側の狛犬に眼をやると、吽形の狛犬の胴に、腸らしきものが巻きつけてあった。
 人の腸なのだろうか。吽形の狛犬の周辺には、腸の持ち主だったと思われる無残に引き裂かれた女のワンピースと、ズタズタになって原型をとどめていない緑色のハンドバックが散らばっていた。


              = 第二回に続く =


 PS しばらく、ブログを放っといたら、「おい、どうした?」と言われました。
    というわけで、新人賞応募の原稿とは別に新たな小説を連載してゆきます!!

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