自作小説

餓鬼狩り (第十九回)

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                      餓鬼狩り   (第十九回)

 空中を飛んでいる女が、このタブレットに画像と音声を送っている!?
 でも、どうやって?
 室緒は、あさぎの機内から、宙を飛んでいる女を見た。ここからは良く見えないが、それでも女が通信機器を持っているようには見えない。光り輝く剣を持っているだけだ。
「君は蒜壷一族とは、どんな関係があるんだ」
 室緒は、タブレット型のモバイルに向かって叫んでみた。室緒の叫びが、女に届くかどうかは分からない。が、女の声と画像がこちらのタブレット型モバイルに届いているのだ。こちらの声も、女に届いているかもしれない。
「この怪物が、蒜壷のものだと知っているの?」
 再び、女の声があさぎの機内に響く。室緒が思ったどうり、こちらからの音声も、女に届いていた。
「我々は、神社で起きた事件も公園で起きた事件も、蒜壷一族のしわざと言う情報を得ている」
 室緒が、そう言う。
「じゃあ、若い刑事が惨殺された事件も、蒜壷一族が起こした事件と、知っているわけね」
「その通りだ」
「そう……」
 短く応えた女の声は、暗く沈んでいるように聞こえた。いや、実際、心にしこりとなって残っているのだろう。女は人が殺された現場にいたのだ。
「君は何者だ? 奴らの仲間ではないことは分かるが、一体何者なんだ」
 室緒は、女の正体を知りたかった。蒜壷一族が生贄にするといった女。空を飛び、身長五十メートルを越す怪物たちと互角に闘う女。この女は何者なのだろう……。
「刑事さんたちは、みんな私のことを知りたがるのね……。鉄工場跡にいた、あの吉川という刑事も、私のことを知りたがった……」
「吉川はいまも病院にいるよ。記憶を失くしてな。……おしえてくれっ。なぜ、吉川はその時の記憶を失くしているんだ」
「それは……」
 女は躊躇っていた。
「吉川は、あの現場で何が起こったのか、何も覚えていないんだ。仲間の刑事が殺され、自分の左手首が潰されているというのに」
「………」
「なぜ黙っている。吉川が記憶を失くした理由を知っているのか? 知っているから黙っているのか」
「吉川さんの記憶は、私が消した……。蒜壷一族のことなど知らないほうが良いと思っていたから……。でも、もう無理ね。食吐までが地上に現れてしまったわ。もう、蒜壷一族のことは隠せない……」
「蒜壷一族のことを隠すために吉川の記憶を消したというのか。君は、人の記憶まで、部分的に操作できるのか?」
 室緒は、思わず声を荒あげた。
「刑事さん、おしゃべりはそれくらいにして。……いまは目の前の食吐を倒さないと」
 紅碧(べにみどり)色と、青藤色を灯していた女の左胸から、紅碧色だけが消えた。女は旋回し、再び、二匹の食吐と向かい合った。
 二匹の食吐が、女めがけて大量の唾液を撒き散らす。ただの唾液ではないようだ。唾液がかかった地上の岩や木々が、ぶすぶすと音をたてて燃え出した。唾液は発火性の強い粘液だった。
 女は、巧みに食吐の唾液攻撃を避け続けている。四方八方巻き散らかされた唾液攻撃を潜り抜け、二匹の食吐の頭上高くに舞い上がった。
 一瞬、女を見失い立ち止まる食吐たち。一匹の食吐が、室緒たちが乗っているあさぎを注視した。口から、あさぎ目がけて唾液を吐く。
「危ない!」
 女が叫ぶ。胸の青藤色の隣に、白緑色(びゃくろくいろ)が灯った。あさぎの前面に黄緑色に近い防護膜が突如現れる。食吐が吐いた唾液が防護膜に遮られた。
「滅せよ! 忌まわしき者」
 女は食吐の脳天めがけて、光り輝く剣を突き刺す。女の剣は、食吐の額に突き刺さった。
「ぐぇえっええっ~」
 食吐は、断末魔の悲鳴をあげて倒れた。
「残り、一匹」
 女は光り輝く剣を水平に構え直し、仲間をやられ騒ぎ立てている食吐を、睨み据えていた。

                       = 第二十回に続く =

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~ Comment ~

このことは一生忘れません。 

私のことを覚えてないかもしれないですけど、それでもいいです。
母子家庭で2歳の息子がいて、何も買ってあげられなかったんです。
ある人に出会わなければ私の人生は何も変わっていなかったと思います。
最初は半信半疑だったんですけど、実際にすごい大金をもらってしまって…。
借金を一括で全額返済できるんです。
本当に知りたい人だけに教えます。
知りたい人はemi_himitu@yahoo.co.jpまでメールください。
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管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

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