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自作小説

餓鬼狩り (第三十三回)

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                       餓鬼狩り   (第三十三回)

「さて、どう始末つけようか」
 と、伽羅がいう。
 グロップxxx(スリーエックス)が火を噴く。組織AHO(オー)のメンバーが、伽羅に向かって撃ったのだ。
「おいおい、いきなり撃ってくるとは礼儀というもの、しらないんじゃあないの」
 伽羅は、グロップXXX(スリーエックス)を撃った隊員の背後にいた。
「いつのまに……」
「おまえが撃ったのは、俺の残像さ」
 伽羅が、隊員の背中に手刀を突き刺す。
「ぐっふふっ」
 背中越しに心臓を一突きされた組織AHO(オー)の隊員が、口から血を噴き出して崩れ落ちた。
「おい、おまえら。食事の時間だ」
 伽羅が、惨殺したばかりの遺体を、鑊身に投げ与える。生き残っていた三匹の鑊身が、我先に伽羅が放りだした遺体にくらいついた。汚らしい鑊身の体液が異臭を放つ。鑊身が遺体に爪をたて、遺体を引き裂く。人の臓器が辺りに飛散し、遺体から溢れ出た血潮が、鑊身の顔面に飛び散った。
「おのれっ、よくも仲間を!」
 組織AHO(オー)の隊員たちが、伽羅、めがけてグロップXXXを撃つ。
「待て、フォーメーションを乱すな」
 荻隊長が、フォーメーションを崩した隊員を叱咤した。が、時すでに遅し、伽羅の手刀が、隊員の命を奪ってゆく。
「二人……。いや、これで三人」
 伽羅は、反す刀で、三人目の隊員の首を手刀で叩き折っていた。
「おい、そこに隠れている奴……。ちゃんと撮っておけよ。おまえは特別に後回しにしてやるから」
 荻隊長率いる組織AHO(オー)の副隊長である代々木は、建物の屋根で一連の記録を撮っていた。
 荻隊長たちと離れて行動していた代々木は、組織AHO(オー)屈指の精鋭チーム荻班と伽羅たち蒜壷一族の闘いを記録していた。別行動している大野たちが乗る“ボタモチ”に映像を送るのが任務だった。
 伽羅に名指しされた代々木は、任務を最後まで全うできるか不安になる。蒜壷一族に気づかれぬように、荻たちとは離れて行動してきたはずなのだが、伽羅は、すでに代々木の存在に気づいていたのだ。
「おまえら人間が、いくら強力な武器を用意しても、あたらなければ意味がないだろう」
 伽羅は跳躍した。跳び、木々の間を駆け巡り、荻隊長率いるチームを翻弄する。
「グロップXXX(スリーエックス)の使用を散弾使用に切り替えろ」
 荻が、部下に指示を出した。
 グロップXXX(スリーエックス)は、特殊な跳弾を包み込んでいる実包をアタッチメントの中に装弾することによって、散弾使用の拳銃に替えることができる。組織AH(オー)の隊員たちは、胸のポケットから素早く、特殊な跳弾入り実包を取り出した。グロップXXX(スリーエックス)を散弾銃に切り替える。
「代々木、ボタモチは? 電磁網の用意はできているんだろうな」
 荻隊長が、通信機に向かって、作戦を確認をした。
「フォーメーション Dを展開したときに、すでに電磁網の用意はできています」
 通信機から、代々木の声が聞こえる。
「よし、大野。電磁網を動かせ」
 荻隊長が、通信相手を切り替え、大野に指示を出す。
「了解」
 組織AHO(オー)の特殊車両、通称“ボタモチ”に乗車している大野は、代々木から連絡を受け、新宿御苑前に止めてあるボタモチの上部ロケットランチャー部を操作した。カモフラージュのスキーボーダーが、ボディーの中にしまいこまれ、弾頭に電磁網のコアを装備したロケットランチャーが、ボディーから迫り出した。
 ダッシュボードの上に据え付けられている八型モニターには、緑に揺らめく蝋燭の炎みたいな点と、赤く揺らめく灯が映っていた。
「緑の点が人で、赤が蒜壷一族……。赤い奴の中で、ひときわ毒々しい色の奴があるだろう。それが伽羅だ」
 大野が、ロケットランチャーのボタンを押した。
「荻隊長、グロップXXX(スリーエックス)で、攪乱してください。……ん!?」
 代々木から“ボタモチ”に送られてきている映像が、突如、乱れた。
「代々木、どうした? 何があった?」
 大野が叫ぶ。通信機のスウィチをスピーカーモードに切り替え、荻隊長に連絡を入れる。
「隊長、なにがあったんです。そちらの状況は?」
 荻隊長は答えない。
「なんです? なにがあったんですか?」
 後部座席にいる室緒、村中、高橋が身を乗り出した。
「クルマを降りるぞ」
 と、大野がいう。
「ボタモチには八木が残る。我々四人は現場に行く。現場に行って、伽羅を必ず確保する。いいな」
「荻隊長たちに、なにがあったんですか?」
 室緒が聞く。
「わからん。なにがあったにしても、彼らは自分の力で、なんとかするだろう。我々の任務は蒜壷H-Aシリーズ伽羅の確保にある。それ以外は考えなくてよろしい」
 大野は、乱暴に“ボタモチ”から降りた。


                           = 第三十四回に続く =

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