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命の輝き

冬がれた日

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           冬芽


   冬空の下。春待つ朱色の芽、ひとつ、ふたつ。
   冬空の下。春待つ朱色の芽、ひとつ、ふたつ。

   凍てついた朝に、静かに時の流れに身を任せ
   吹き荒れる寒風に、身じろぎもせずに命の刻を刻む。

   冬空の下。春待つ朱色の芽、ひとつ、ふたつ。
   冬空の下。春待つ朱色の芽、ひとつ、ふたつ。

   星明りもない闇夜の中で、しじまと戯れ
   暗闇に蠢動するものたちに、臆することなく、
   花咲く季節を待つ。

   もう、何十年も何百年も、君はそうしてきた。
   幾星霜の時の流れの中で、命が滅び、
   生誕するさまを見ながら。
   
  冬芽。時代の変わり目に、君は何を想う。
  冬芽。君は、次の世代に何を期待する。



  先日、お世話になった親戚が、この世を去りました。
  長年連れ添った妻に、先立たれた老父が、妻の墓前で、
  大声で哭きながら謝っていました。
  「ごめんよ~ ごめんよ~ 成仏してくれよ。成仏してくれよ」
  と。
  老父は、なにに対して謝っていたのでしょうか。
  救うことができなかった妻に対して悔恨の情が、
  老父の魂を揺り動かし、謝罪の言葉になったのでしょうか。
  老父は悲しみのあまり持病を併発してしまい、
  県立病院に運ばれてゆきました。

  二、三日して、昔、経営していた八百屋さんに買い物に
  きてくれた知り合いの小母さんが、脳梗塞で、この世を
  去りました。
  いつも気前よく野菜や果物を狩ってくれた小母さん。
  あの人の笑顔は、もう見れません。

  不幸は続きます。それから一週間も経たないうちに、
  なにかと世話になった居酒屋の主人が、癌のために、
  物故者になりました。
  居酒屋に行っても、もう二度と、あの人と会うことはできません。

  死とは残酷です。ふいに襲ってきて、人の命を奪ってゆきます。

       -合掌ー

   冬芽 1
                        〈春待つ冬芽〉   
  


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