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自作小説

餓鬼狩り (第四十三回)

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                       餓鬼狩り   (第四十三回)

 琥耶姫は、洪暫の前に膝まずいた。お供の犬の顔をした二人の蒜壷も、琥耶姫の両脇に陣取って膝まずいて黙礼した。
「ありゃま、わいだけここに呼ばれたと思ったら、あんさんもよばれましたか?」
 惟三が、わざとらしく驚いて見せる。惟三は琥耶姫の登場がおもしろくないようだった。琥耶姫も不快なようである。あからさまに琥耶姫を侮蔑する惟三の滑稽な振る舞いに、琥耶姫は薄い唇を噛んでいた。
「十種神宝の秘密を知ったのは、おまえだけではないのだよ惟三。琥耶姫とその相棒の鴉、刻も、その秘密を知った」
 洪暫が惟三に言う。
「十種神宝の秘密を知った者は、蒜壷一族の中でも、我々だけだ。秘密を知った我らだけが、那美の手から十種神宝を奪えることができると言えよう。惟三、琥耶姫たちと、ともに協力して、是が非でも、那美の手から十種神宝を奪え」
 洪暫は、隻眼の鴉、刻の報告により、十種神宝の秘密をすでに知っていた。先程、惟三に十種神宝のことを訊いていたのは、その確認にすぎなかった。
「わいが、琥耶姫と組むんですか?」
「いやか?」
「いやだなんて、滅相もない。わいは女に、とんと縁がないさかい。蒜壷一族のユリの花ともいわれる琥耶姫と組むんなら、こりゃあ願ってもないことや。えろう歓迎しまっせい」
 惟三は、ニタニタ嗤った後、舌をうった。
 惟三は、内心では、琥耶姫と組みたくはなかった。手下の餓鬼を使い、那美から十種神宝を奪いたかった。手柄を独り占めにし、洪暫に認められたかったのである。
 洪暫は、なにゆえ惟三と琥耶姫を組ませるのだろうか?
 惟三は、唇を歪ませた。
「おまえは、このわらわをユリの花にたとえるのか? このトカゲ貌のわらわを」
 琥耶姫が、惟三を睨む。
「そんなキツイ眼で、わいを睨まんで。わいはこれでも、人間の姿に化身したあんたを見たことがあるんや。ずっーと昔にな。ごおつうべっぴんさんでしたで、あんさんは」
「昔って、いつのことじゃ」
「昔、昔の大昔ですがな」
 惟三は、ニヤニヤ笑った。
 人に化身できる化瑠魂一粒造るのに、精魂を注ぎ込んで、約二ヶ月はかかる。それゆえ、琥耶姫は、滅多に化瑠魂を使わない。琥耶姫が、前に化瑠魂を使って、人に化身したのは、鎌倉時代のことだった。
「惟三、おまえ、まさか……。そんな昔から……」
 と、琥耶姫が言う。
「だから……。そんな目で、わいを見なさんな。わいは……。えっーと……。そうそう、いまでいうストーカー行為をしただけですがな。なにも問題はないやろ。わいらは人間さまじゃあないさかいになあ。陰からあんたさんをジロジロ見たってなんの罪にもならへんのや。……琥耶姫はん、人の姿に化身したあんたは、本当に綺麗でしたぜ」
「ええっーい、言うな! 気色悪い」
 琥耶姫は、惟三に掴みかかろうとした。琥耶姫の供の蒜壷が慌てて琥耶姫を止める。
「そこのお兄さんたち、しっかりと琥耶姫を抑えててくださいよ。毒針でも口から噴かれたら、かなわんさかいに」
 惟三が、琥耶姫の身体を抑えている二匹の蒜壷のモノに、そう言った。
「惟三……、おまえの皮膚は琥耶姫の毒針を通さなかったんじゃあないのか?」
 洪暫が、惟三に言う。
「そうやと思いますけど、いまはこんな姿ですから、もしかしたら、琥耶姫の毒針を通すかも知れないと思いましてな」
 化瑠魂一粒での化身時間は三日間である。蒜壷一族は自分の意志で化身を解くこともできるが、惟三は極異界に帰ってきた現在でも、その化身を解いていなかった。
「プシュー」
 琥耶姫が、いきなり惟三の胸をめがけて、口から無数の毒針を吐いた。しかし、人の姿に化身しても、卑眼のヒキガエル、惟三のぶ厚い皮膚には通じない。琥耶姫の放った無数の針は、惟三に突き刺さることなく、パラパラと板敷の床の上に落ちて行った。
「なにをするんや。いきなり……」
 惟三が、唇を尖らせた。
「まったくもって、油断できんおなごやな」
 えへらへら笑う惟三に、唾を吐くように、琥耶姫はプイっと横を向くと、
「洪暫さま……。わらわは、この男と組むのは嫌でございます。わらわにも女の意地があるゆえ、このような男とは……」
 と、洪暫に嘆願した。
「わしの命令がきけるというのか?」
 洪暫の鋭い視線が琥耶姫を貫く。
「いいえ……。そのようなことは……」
 琥耶姫は、洪暫の心の臓を刺すような視線に射抜かれて、たじろいだ。
「そのようなことはないというのだな……」
「はい……」
 琥耶姫は頭を下げた。
「琥耶姫よ。そなたが連れて来たお供のモノどもを、わしに紹介してくれ」
 洪暫にとって、琥耶姫のお供のモノたちは初顔の男たちだった。値踏みするように琥耶姫のお供の蒜壷を見た。
「はい、こちらが風のイで……」
 琥耶姫が右手の犬の顔をした蒜壷を紹介し、左手の犬の顔をした蒜壷を「こちらが大地のヌです」と、洪暫に紹介した。
「ほう、そのほうたちが、風のイと大地のヌか……。そのほうたちの噂は耳にしている。顔を見るのは初めてじゃがな」
「はっ、洪暫さまは、我らのことをご存じでしたか」
 風のイが言う。
「知っているとも、一族に中に風を自由自在に操る蒜壷と、大地を揺り動かす蒜壷のモノがいると噂に聞いておる。……おまえたちがそうなのだな」
「はっはぁー」
 風にイと、大地のヌの蒜壷はかしこまった。
「おまえたちが、琥耶姫についているのなら、ここにいる琥耶姫もこころづよいだろう。頼むぞ風のイと大地のヌ」
 洪暫は、洪暫の前でかしこまっている二人の蒜壷モノの肩に手を置いた。
 洪暫が、琥耶姫に視線を移すと、琥耶姫が、何か言いたげに洪暫を見ていた。
「わしに何か言いたいようだな……。琥耶姫」
「洪暫さま……。ひとつ聞きたいことがありますのじゃ」
「ほう、なにが訊きたい」
「十種神宝……。十種神宝のことを詳しく教えてくださいませ」
「前に話したはずだが……」
「わらわが知っているのは、断片的なものばかり……。わらわは、もっと詳しく知りたい」
「そんなに知りたいか?」
「はい……」
 琥耶姫は、深く頭を下げた。
「……よかろう。わしが知っていることを全てはなしてやる」
 洪暫は、眼を閉じた。やがて、おもむろに眼をひらくと静かに話し始めた。
「十種神宝のうち、八握剣というものは……」
「それっ、那美はんが、光破剣といっているものでしょう」
惟三が茶化すと、洪暫は惟三を睨み付けた。
「八握剣は……」
 洪暫は話を続ける。

                  = 第四十四回に続く =

P,S  体調不良のために、一か月以上、ブログを休んでしまった。どうも体の調子が良くない。こりゃーいかん。きっと、お酒の飲みすぎである。何をやるにしろ身体が資本、健康一番。健康に気をつけてとにかく頑張ろう!



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