FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←餓鬼狩り 第二部 (第四回) →餓鬼狩り 第二部  (第六回)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 自作小説
もくじ  3kaku_s_L.png 市民劇場 裏話
もくじ  3kaku_s_L.png 命の輝き
もくじ  3kaku_s_L.png 映画鑑賞記
  • 【餓鬼狩り 第二部 (第四回)】へ
  • 【餓鬼狩り 第二部  (第六回)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

自作小説

餓鬼狩り 第二部 (第五回)

 ←餓鬼狩り 第二部 (第四回) →餓鬼狩り 第二部  (第六回)
                   餓鬼狩り  第二部  (第五回)

「ちょっと、話してもいいかね?」
 関川が、言う。
「なんだ? 言い足りなかったのか」
 大野が目を光らせた。
「そんな怖い顔をしないでおくれよ。わしは、ここにいるみんなにハイランダー症候群のことを説明したいだけだ。八白比丘尼の話もそうだが、ハイランダー症候群のことを説明したほうが、那美さんの身体のことを理解できると思ってな」
「ハイランダー症候群? なんだ、その症候群っていうのは?」
「ハイランダー症候群っていうのはだな……」
 関川の話によると、ハイランダー症候群というのは、いくら歳をとっても老けないという、非常に稀有な症状を持つ人々のことだという。
「ほう、那美さんのような人が、我々人類の中にもいるというのかね」
 五十嵐参謀が、問う。
「最近、ある筋からわしが確認した患者は、二名でね。アメリカメリーランド州の少女と、韓国の二十代の男性だがね。アメリカの少女のほうは、四歳で、その成長が止まり、二十歳で亡くなってしまったが、韓国の男性のほうは、十代の容姿で、今も元気に生き続けている」
「その韓国の男性、テレビで見ました」
 関川の説明に、室緒が補足するように声をあげた。
 室緒が見たのは、インターネットで紹介されていた韓国のテレビ番組だった。韓国の男性は、異常な症候群を患ってはいるが、大変明るい性格だと、そのテレビ番組は報道していた。
「室緒くんだったか……。君は、人の老化は、何が原因で起きるのか、分かるか?」
 関川が、銀縁の眼鏡を右手の人差し指で掻いた。室緒は、応えることができない。老化のことなど考えたことがない室緒は、不意をつかれた子供のようにうろたえた。
「人の老化というものはだね……。一概には言えないけれど、細胞組織の酸化に、その一因があると言われている。酸素を取り込むことによって、皮膚は老化し、臓器が錆びてゆくというデーターがあるのだよ。君も活性酸素が、身体に有害なことぐらい知っているだろう。何とも皮肉な話だが、生きてゆくのに必要な酸素をとりこむことによって、人は老いてゆく」
「それじゃあ、そのハイランダー症候群の人たちは、活性酸素の影響を、全く受けていないというのですか? 酸化をしないから、肉体が老化しないのですか?」
 室緒が問う。
「そうじゃない。第一、息をして、酸素を取り込まなければ、すぐに窒息死してしまうだろうが……。ハイランダー症候群の人たちは、ホルモンの異常によって老化が食い止められていると、一部の学者たちの中で言われている。どのようなホルモンが関わっているか、全くわかっていないがね」
 ホルモンとは、人の体内で合成され、血液などの体液によって、人体を循環し、細胞などで、その効果を発揮する生理活性物質だと定義されている。ホルモンが創られ、分泌される器官は大きく分けらると、神経から情報を受けてホルモンを生成する視床下部、下垂体、福腎髄質などがあり、細胞からの情報を受けて、性腺、福腎皮質、心臓。栄養情報から、消火管、脾臓、副甲状腺などがあげられる。
 ホルモンは、人の正常な生命活動状態を保ち続ける重要なものだが、その作用については、まだ分かったいないことが多いと、言われている。 
「あなた方の中にも、私のような人がいるというのね」
 那美が言う。
「そうだ。まっ、那美さんみたいに平安時代から生き続けている人間はいないと思うけれどな。わしが言いたいのは、人類の中にも不老の可能性持つ人々がいるということだ」
「那美さんが、平安時代から生き続けてきたという話は、無暗に否定できるものではないということだな」
 関川の説明を受けて、大野が言った。
「そういうことだ。信じられる話ではないがな」
 関川は、眼鏡を外し、胸のポケットから取り出したハンカチで眼鏡を拭き始めた。
 いつまでも若いままでいたいという願望は、おそらく人類共通のものであろう。
 人は、誰でも老いる。歳をとれば、物覚えが悪くなり、運動能力が低下する。容姿が衰え、異性に関心を持たれなくなり、やがて、鏡に映った自分の姿に愕然とするようになる……。
 中には、歳など気にせずに、溌溂と生きている人たちもいるが、内心では、若さを取り戻したいと思っているだろう。失った若さが取り戻すことができれば、人生の中で、積み上げられてきた知恵と経験を生かし、きっと後悔しない人生が送れるはず。
 たった一度の人生、後悔だけはしたくないと……。
「それで、那美さん。あなたが使用している十種神宝というのは、文献に記されている物部氏が、神から授かったと言われているものと同じものなのかね?」
 大野が問う。
 古代において、神アマテラスオオミカミから、神二ギハヤヒノミコトに贈られ、二ギハヤヒノミコトが、軍事と警察を司った氏族である物部氏に授けたという十種神宝は、石上神社に奉納された。その後、石上神社は織田信長の焼き討ちに遭い、その焼き討ちの際、十種神宝は、賊の手によって持ち去られた。その後、転々と居場所を変え、町の古道具屋で発見された後、いまは楯原神社に祀られいるという。
「楯原神社に祀られているという十種神宝は、当時の人たちが、私が使っている真の十種神宝の力を、垣間見た人が創作したものにすぎません」
「と、いうことは、物部氏は二ギハヤヒノミコトから十種神宝は授かったという話は?」
「物部氏は、確かに二ギハヤヒノミコトから十種神宝を授かりました。物の物部氏ではなくて、鬼と書いて鬼部氏(もののべし)と呼ばれる鬼部氏が、二ギハヤヒノミコトから十種神宝を授かったのです。物とかいて物部氏と呼ばれていた氏族は、初めは物部氏とは名乗っていませんでした。鬼部氏が当時の人々に恐れられていた恐れを、わがものにしようとしてモノノベシと名のり、時の政府に取り入れられようとしたのです。物部氏の目論見は成功し、物部氏は、軍事と警察を束ねる氏族としての役職を任されるようになりました。一方、絶大な力を持つ十種神宝を操る鬼部氏ほうは、傲岸不遜になり、神の怒りをかうようになりました。鬼部氏の神をも恐れぬ所業に怒った神は、鬼部氏を地獄界に堕とし、地獄界で罪人を苛む鬼として生きることを命じたのです」
「それが、今も伝わる鬼の姿だと……」
 大野が那美の説明に顔をしかめた。
「すると、もともと人間だった鬼部氏が、あのような角が生えた醜悪な化け物になってしまったということかね」
 関川が、那美に疑問を投げた。
「鬼部氏が十種神宝を使って行った数々の悪行は、神の怒りをかいすぎたのです。神が、人だった鬼部氏を鬼と呼ぶ化け物に変え、地獄界に堕とすほどに……」
 古代の多神教世界のおいて、河川や山々において、様々な神が棲むと言われ、樹木や石にさえ神が宿ると言われた。その世界のおいて、「もの」という言葉が、霊魂、神、あるいは鬼という言葉を意味するようになり、十種神宝を自由自在に操ることができた鬼部氏と名乗った一族は、その強大な力をもったゆえに人間界から追放されたのであぅた。
「十種神宝にはいろいろとあるようだが、鬼部氏は、どんな十種神宝を、どのように使ったんだね……」
 大野が、那美に問う。
「みなさんは、恐山のイタコをご存知でしょうか?」
 那美が言った。
「知っているよ。口寄せという死者の霊を呼び出す巫女のことだろう」
 関川が、応える。
 イタコとは、口寄せという霊的交感で死者の霊の言葉を、伝える巫女たちのことである。
 トランス状態に陥った巫女は、相談者の求めに応じて、霊を呼び出し、霊からの言葉を伝えるという。
「十種神宝の一つである死反玉は、巫女の力を借りなくても、死者との交信ができる力を持つ神宝ですが、この死反玉はつかいようによっては恐ろしいものになります」
「恐ろしいものとは?」
 大野が聞く。
「死者の魂を呼び寄せ、死者から慰みの言葉をもらったり、アドバイスを受け取ったりしているうちは、まだいいのですが……。死反玉は、生と死を司る神宝です。敵意のある相手に呪いをかけたり、死を願い……」
「死を願い……。敵の死を願ってどうするのかね?」
 大野が、眉をあげた。
 敵対する相手や、憎しみをつのらす人間に、呪いをかける行為は、世界中、いたるところで見られる。
 日本においては、神社の御神木に藁人形を打ち込む丑の刻参りが知られているが、死体をゾンビ化して蘇らせる儀式で有名な、ブードゥー教では、呪いの人形の胸や腕に針を刺して憎い相手を殺す行為が見られる。また、黒魔術では、呪術で悪霊を呼び出し、相手を不幸のどん底に堕とすという。
「相手の死を願い……。魂を抜き取るのです」
 ため息をつきながら那美は、言った。
「魂を抜き取るだと!?」
 那美の言葉に、会議室は凍り付いた。


                      = 第二部 第六回へ続く =


にほんブログ村










スポンサーサイト


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 自作小説
もくじ  3kaku_s_L.png 市民劇場 裏話
もくじ  3kaku_s_L.png 命の輝き
もくじ  3kaku_s_L.png 映画鑑賞記
  • 【餓鬼狩り 第二部 (第四回)】へ
  • 【餓鬼狩り 第二部  (第六回)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【餓鬼狩り 第二部 (第四回)】へ
  • 【餓鬼狩り 第二部  (第六回)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。